よく見ればヌートリア

自分用の記録

5.24 「門外不出モラトリアム」(劇団ノーミーツ)

 


5.24
15:00〜 オンライン演劇


劇団ノーミーツさん。
Zoomを使った短編のお芝居を、Twitterで一早く公開した劇団さんなイメージがある。その後に続けて公開された幾つかの短編も凄く工夫が凝らされていて、長編作品だともっと凄いんだろうなあ…!とわくわくしつつの観劇でしたが、やっぱり凄かった…!
場面の切り替えや演出が凄く緻密かつスムーズで、まずそこにびっくり…。オンラインってほんとに色んなことができるんだなあ。

所々え、これマジでリモートで生でやってるの?収録で編集してるんじゃなく?って思ってしまうくらい凄いとこもあって、は〜〜〜凄かったなあ(語彙力)

 



「もしもこの生活があと4年続いたら」

 


わたしがこの作品に興味を抱いた理由のひとつに、このキャッチコピーもあった。
みんなが外出を控えて、働き方や学び方、生活の色んなあり方が変わった、2020年。終わりが見えない状況に、割とわたしはよくメンタルをやられる。しょっちゅうやられる。


──もしもこの生活が、あと4年続いたら。


どうだろう。耐えられるかな?無理だなあ…と思いつつ、無理でもなんでも耐えるしかないんだよなあ。世の中で生きるには、結局その状況を受け入れて、適応して、生きていくしかないのだ。これからの世界を生き抜くなら、会いたい人に会うことを我慢して、見たいものを見ることを我慢して、行きたいところに行くことを我慢して。メンタルやられながらでも、そうやって生きていかなくちゃいけない。

 


4年。
今回の「門外不出モラトリアム」の登場人物達は、まさにそんな「4年続いた」世界を生き抜いた大学生たちだった。
リモートの入学式。リモートの卒業式。その間のキャンパスライフも勿論フルリモート。友達との出逢いも、別れも、全部。非現実的に思えるけど、これから全然あり得る話なんだよな、と思うと少し心が重くなる。わたしは大学生活をめちゃくちゃ楽しんだタイプの人間で、それがフルリモートだったら?果たしてそんな楽しい4年間を送れたかな?ってちょっと考えてしまうので…(ちなみに自信はない)

 


とは言いつつ、フルリモートでありながら、大学生たちは大学生らしく、楽しそうでちょっと適当な学生生活を送ってるのが面白かった!
特に出席のシーン!オンラインを利用してあの手この手でギリギリを攻めたりバレないようにすっぽかす生徒とか、それを見抜く先生とか。リアルな大学生活でも色々やったよね〜( ˘ω˘ )とか思い出すと、リアルであろうがオンラインであろうが、きっと本質は変わらないんだなと思えてなんだか嬉しかった〜!
そして画面越しの友達との間にも、色んな人間関係がある。それだけは例えフルリモートでも変わらない。中々に複雑な人間関係だよなと思いつつ、まあ大学生が少人数集まるとそんなものだよねと…笑

 

自分たちの4年間は普通ではない、と言いながらも、普通の大学生活に近しいものを目指そうとする。けれど、やっぱり自分たちの大学生活が普通ではないと言う葛藤が突き刺さる。それでもどうにかしてより良い未来を選び取りたい、少しでもいい未来に辿り着きたい、と苦しんで足掻きながらも頑張るメグルちゃん、よかったなあ。
「普通ではないから」「すべて画面越しの学生生活だから」、そんな理由で、大切な自分の4年間を諦めることはないんだよな。「やり直したい」と言う言葉はメグルちゃん自身のためのものであり、リョウイチくんの願いでもあったのだ。メグルちゃんが何度もあの部屋から未来をやり直すのは、きっとリョウイチくんのためでもあったのだ。メグルちゃん、ほんとに頑張ったなあ…。


でも個人的に一番突き刺さったのは、やっぱりケンジくんのシーン…。
会いたい人に会いたい、見たいものを見たい、行きたいところに行きたい。そんな欲求を達成できないままもやもやしながら生きている今の状況と自分の感情があのシーンのケンジくんにめっちゃ重なって、アア…アアア…ってなってうるっとしてしまった。
オンラインでも確かに満たされるものはある。けど、やっぱりそれでは完全に心を埋めることはできないんだよなあ。人は人と生でコミュニケーションを取らなきゃ生きていけない。友達だからこそ、自分の目でちゃんと見て、目の前でちゃんと話したい。あそこの感情全部ぶつけてぐっちゃぐちゃになってる感じ、あまりにもつらくてあまりにも素晴らしかった…。
そのどうしようもない思いや悲しみがちゃんと未来に繋がって、とにかくよかったなあと心から思う。ほんとうに。


未来を選ぶこと。

自分と大事な友達が過ごしてきた時間を無駄にしないために、少しでも良い未来を選択すること。
そのためなら何回繰り返すことになっても後悔しない。まずは行動すること。例え失敗することになってしまっても、全部を上手く回すことはできなくても。ひとりひとりの行動が、いつか未来を変える。自分たちには運命を覆す力がある。そう信じて。

 

ラストシーン、凄く暖かくて爽やかだった…。
リョウイチくんがメグルちゃんに最後にかけた一声でまた少し泣きそうになった。勿論リョウイチくんだけじゃなく、他の三人がメグルちゃんを見る目も凄く優しくて…バーチャルだったとしても彼らの4年間は嘘ではないし、そこで生まれた友情は紛れもない本物なんだって強く思わされた。
あの後、あの5人はどんな会話を交わすんだろう。それだけでわくわくしてしまうな。



「もしもこの生活があと4年続いたら」
さて、どうするんだろうなあ。